神戸芸術工科大学 ファッションデザイン学科

神戸芸術工科大学

神戸でファッションを学べる大学

えびすのみなさんへのショール発表

特集:教員の取り組み

テキスタイルデザインコース:コラボ・ショールーまちを身にまとうー/ばんばまさえ准教授

今回の特集は、教員が学生と共に行っているプロジェクトを各コース一つピックアップして紹介します。

概要

障害のある方々が働く福祉事業所(NPO法人えびす)、デザイン系高校と連携して実施するアートプロジェクトです。障害のある方と大学生が共同でデジタルカメラを用いて地域の風景や身近な出来事を撮影、その写真をデザイン化して布に印刷し、「コラボ・ショール」を制作します。完成したショールを身にまとい、兵庫県立龍野北高校総合デザイン科のファッションショーに参加する予定です。このプロジェクトはクラフト・美術学科の谷口文保准教授と共に担当しています。

プロジェクトの意義

このプロジェクトでは、学年や専門分野を超えてワークショップや共同制作を行い、ひとつのものを共同で作り上げる面白さ、難しさを体験します。普段は関わることが少ない障害者福祉の現場を身近に感じ、社会において多様な人々がどのように共生していくのかを考えていきます。また、地域社会の良さを再発見し、それを表現・発信することの価値を学びます。そして、人と人とをつなぎ、地域固有の芸術文化を創出していくアートやデザインの力を実感し、その意義を理解することを目標としています。大学内で行われる授業では体験できない内容です。

二人一組での撮影

コラボ・ショールプロジェクトには1年生5名と2年生4名、合計9名の学生が参加しています。所属学科もファッションデザイン・プロダクト・クラフト美術と、3つの学科に分かれています。普段は交流する機会がないメンバーですが、今回このプロジェクトの内容に興味を持って集まりました。

6月に説明会を行った後、メンバー全員で兵庫県たつの市へ行きました。福祉事業所(NPO法人えびす)で代表の志水哲也さんから全国の障害者作業所の現状とえびすの活動内容についてお話をしていただき、作業所内を見学しました。昼食はえびすのカフェで提供されているお弁当をいただき、午後から作業所のみなさんと撮影に出発。播磨の小京都ともいわれる龍野地区は揖保川が流れる美しい城下町です。景観を意識した商店の街並み、醤油工場の白壁の土蔵やお寺などを巡りながら学生と作業所のメンバーが二人一組になって撮影をしました。この日は、自分はカメラを持たず、いいなと思う風景を相手に撮影してもらうという方法を試みました。暑い夏の日差しの中、カメラマン役を交代しながら、初めて会うパートナーともほどなく打ち解けていきました。こうして撮影した写真は大学に持ち帰り、その中から使いたい写真を選び、ショールのデザインにデジタル加工しました。出来上がったものはメンバーで検討し、手直し、テキスタイルラボラトリーにあるデジタルプリンターを用いて布にプリントしました。約120cm×80cmの大きな布に転写紙を配置して画像がずれないように転写するのは時間がかかり、大変な作業でした。8月7日、えびすのみなさんが大学に来校され、そこで完成したショールを発表しました。自分たちが撮った写真が布に表現されているのを見て、「きれい!」「うれしい!」と喜んでもらえました。11月には龍野北高校のファッションショーに一緒に出演します。ショーでは自分がショールを身に着けるということで、とても期待されているようでした。

今回のワークショップでは、普段は気づかない日常の何気ない一コマの中にある美しさを再発見することができました。今までとは違った視点で街や人などといった身の回りのものを見る機会となったと思います。メンバー各自にとって、こういった経験がこれから「人と人との関わりや社会の中での自分」という広い視点で物事を考えていくきっかけになればと思っています。

NPO法人えびすのカフェ前にて
ばんばまさえ(准教授)
テキスタイルデザインコース担当
経歴:京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程修了
専門領域:染織テキスタイル
研究内容:絞り染、ステンシルなど染色技法を用いての作品制作。