神戸芸術工科大学 ファッションデザイン学科

神戸芸術工科大学

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細胞/千頭沙織

特集:2012年度ファッションデザイン学科卒業制作選抜作品

テキスタイルデザインコース:細胞/千頭沙織

今回の特集は、2月に行われた卒展出展作品より各コースの学生をピックアップして制作背景を含めて紹介します。

「人が小さくなって細胞の中に入り込む」

それが千頭さんの目指した作品のイメージでした。そして、透ける質感を実現するために選んだのがシルクの布を薬品で縮める塩縮加工です。捺染の技術に塩縮技法を取り込み、布の一部を細胞の形に縮ませました。中の細胞核は同じく捺染の方法で発砲バインダーを使うことで立体的に表現しました。

作品の中に入って鑑賞できる展示方法にしたいという希望から、制作を進める中で完成予想模型を作りました。高さ430cm、幅265cmの大きな円柱の中に細い円柱が立つという構想です。結果、膨大な面積の布が必要だと解り、また、展示して見せるためには多くの問題を解決しなければなりませんでした。しかし、理想の形を実現したいという強い意志でその問題点を検証していくと同時に、こつこつと毎日捺染の作業を繰り返すことですべての面を加工することができました。

作品の中に入ると、緑のグラデーションに染色されて何層にも重なった生地は、縮みによる凹凸と相まって様々な表情を見せてくれます。緑の膜に包まれて不思議な、そしてほっとするような気持ちになる、そんな体験をさせてくれる空間を作り出すことができました。

(text: ばんばまさえ准教授)

作品全体写真
制作過程での布のサンプル
制作作業風景

制作時の学生のこだわり

塩縮加工をはじめたきっかけは、ある本で布の加工方法を初めて知り、この技法をやってみたいという好奇心からでした。卒業研究の1年間、塩縮加工を用いたオリジナルの布の制作をテーマに研究しました。この技法を成功させるまでの実験が一番苦労しました。はじめは加減がわからず薬品が強すぎて生地が破れてしまいました。薬品の種類を変えてみたり、濃度、温度などに左右されるのでちょうど良い条件になるまで何回も試作を繰り返しました。この作品を制作していたとき、インスタレーションに興味があり、大きい空間作品を作りたいという思いがありました。この作品を見た人々に不思議な感覚を味わっていただけていたらいいなと思っています。

千頭沙織
現在、シルクスクリーンプリントの仕事をしています。大学でもプリント作業をよくしていたので仕事にしたいと思いました。プロの現場で、プリントについて日々勉強しています。